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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第29章 for dear my imaginary blank


遠慮がちな声の調子とは裏腹に、二人は部屋に踏みこんできた。

反射的にスペースをあけた菊(染みついた性だ仕方ない)の隣に、どかっと腰をおろす。

それと同時に、アントーニョが立ち上がった。

「おい、なにしようってんだ」

アーサーが冷たく言い放った。

虚ろなアントーニョの瞳に、にわかに怒りの色がさす。

「ロヴィーノを助けに行く以外なにかあると思うんか?」

「どこに行って、どうやって助けるんだ? ちゃんと考えがあるんだろうな?」

「――っ」

アントーニョが言葉に詰まる。

握りしめた拳は白く染まり、小さく震えていた。

考えなどあるわけがない。
    、、、
そもそもあそこがどこなのか、それさえわからないのだ。

「部外者は黙っとけや」

「部外者? 随分と余裕だな」

今にも破裂しそうな怒気を含んだアントーニョの声。

そこに、小馬鹿にしたようなアーサーの声が応える。

見かねたフランシスとフェリちゃんが割って入った。

その間に、枢軸で集まっていたこと。

おかしな情報漏洩があったため菊がアーサーを、ギルがフランシスを喚問したこと。

そのため今ここにいる八人で全員なこと。

これらを菊から聞いた。

「いいから、座れ、んで黙って聞け」

「のんびり座りこんでなにになるんや! ロヴィは、ロヴィはこうしてる今だって……!」

「俺がその場所に心当たりがあるって言ったら、どうだ?」

その言葉に、アントーニョがハッと息をのみこんだ。
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