第28章 on the planned system
それはまるで、赤い絵の具をぶちまけたようだった。
致死量を軽く超えているであろう鮮血が、アスファルトに飛び散っている。
建物の外壁や、窓にまで赤が飛んでいた。
どうやったらここまでなるのか、想像できなかったし――想像したくもなかった。
立ちこめるむわっとした鉄の匂い。
それが体にまとわりついて、えずきそうになる。
「ロヴィ……?」
けれど、そう呼ばれた彼の姿がなかった。
ただ殺人現場のような血だまりと、彼が持っていた銃が落ちているだけだった。
茫然としたアントーニョが、ぎこちない動作で銃を拾う。
その銃も血に濡れていて、かすかに煙のような匂いがした。
「なん……で……」
アントーニョが震える声を絞り出す。
彼の視線は、銃に縫いつけられていた。