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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第28章 on the planned system


「危なく感じたらすぐ戻ってくるんやで!」

懇願にも似たアントーニョの声に返事もせず、ロヴィーノの姿が、とうとう建物の影に消える。

「大丈夫でしょうか……なんか具合悪そうでした」

「……」

アントーニョは唇を結んで、食い入るようにロヴィが向かった方向を見ていた。

永遠にも感じられたが、多分それは、数十秒後のことだったと思う。

――パァンッ!

甲高い銃声が、静寂を切り裂いた。

「ロヴィ!」

弾かれたようにアントーニョが走りだした。

私もほとんど無意識に駆け出していた。

街路樹を抜け、街灯を横切り、ロヴィがいる角を曲がる。

「大丈夫かロヴィ――」

そこで広がっていた光景に、私たちは凍りついた。

指先まで固まり、喉も口もひきつって動けない。

アントーニョの目が見開かれていた。

拒絶と恐怖に瞳孔が震えている。

――多分、私も同じだろう。

立ちすくむ二人の眼前には、血の海が横たわっていた。
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