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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第28章 on the planned system


「あっあの……私、どうしたら――……」

情けない。

捻り出した声は蚊の鳴く音量で、今にも泣きそうだった。

「――っ」

アントーニョの顔が苦悶に歪む。

なにを悩んでいるのか、まるで過酷な二択に迫られているような顔だ。

「……公子、ちゃん」

アントーニョが、すがりつくように私の手首を掴んだ。

そのまま手が下がっていき、私の手を握る。

力が強くて、少し痛い。

狂気に踏み出す一歩手前の緑眼が、私を真っ直ぐ見つめる。

次の瞬間、腕が強く引っ張られた。

アントーニョが走り出していたのだ。

手をつながれている私も、引きずられるように走りだす。

わけもわからないまま、最初に来た地点が見えてきた。

アントーニョは減速しない。

鉄の匂いが遠くなっていく。

それに代わるように、視界がぐらついてくる。

元いた地点に到着すると同時に、デジャブじみた感覚が脳を貫いた。

なにかがカチッとはまった――そんな気がした。
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