第3章 月夜にて
アーサーの叫びもむなしく、菊と耀は怪訝そうだ。
見てはいけないものを見るような二人の視線に、アーサーはやりきれない。
ひとつため息をついた。
気を取り直し、アーサーも封筒を出す。
「すまねぇが、今回もこれといった数字は出なかった」
「いえ、いつもありがとうございます」
菊は丁寧に封筒を受け取った。
――ここ3ヶ月ほど調査を続けているが、芳しい結果は出ていない。
二人は焦りを感じ始めていた。
果たしてこの調査に意味はあるのか?
その答えは、得たくもあり、また得たくもないものだった。
空気が重くなる。
慌てたアーサーは、小さな紙袋を差しだした。
「あっ、あとこの前菊が興味持ってたハーブティー持ってきたぜ」
「え? そ、そんなお気遣いなく……」
「いや、たまたま家にあったからついでにって……ついでだからな!」
「わざわざすみません、ありがとうございます」
菊は申し訳なさげに受け取る。
丁寧な包装に(露骨な人だな……)と相変わらず思う菊だった。