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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第3章 月夜にて


「……とりあえず、こちらの報告書は完成しました。どうぞお持ち帰り下さい」

「おっおぉ! ありがとな!」

菊がようやく口を開いてくれたことに、アーサーは泣くほど嬉しくなった。

聞きたいことだらけだが、ぐっと我慢する。

菊は封筒を渡すと、困り果てた顔で言った。

「先ほどの方のことは、どうか他言無用でお願いします」

声音は普段より、ひどく真面目だった。

訝しんだアーサーは、言葉を選びながら尋ねる。

「――もしかして、“異変”と関係あるのか?」

「おそらく、ですが……すみません、今はまだなにも言えません」

自信なさげであったのが、謝罪ののちの言葉からは、確固とした口調に変わっていた。

本当になにも言わないのだろうと、アーサーは観念する。

「わかった、いつか教えてくれよ?」

「えぇ、必ず」

「あー! なんでてめーがいるあへん! どっから湧いてきたあへん!!」

唐突に、二人の間に叫びが割って入った。

アーサーを指差し、思いっきり不機嫌顔なのは――耀だ。

「プレートとか地震の報告書持ってきたんだ。悪いかよ」

アーサーは負けじと刺々しく言う。

「玄関から入ってきた音がしなかったのは、どういうことあへん」

「うっ……そ、それは――」

しかし、途端に言いよどむ。

それを目にし、耀はサーッと青ざめた。

「おっおめーまさかあの娘に――」

「ちげーよばかっ!」

「本当あるか菊?」

「え、えぇ……多分(ボソッ)」

「おい菊!!」
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