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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第28章 on the planned system


「今、向こうで影が動いた」

ロヴィーノが小声で囁いた。

その指先は、少し離れた建物の影をさしている。

「誰かいるってことか?」

アントーニョの問いに、ロヴィーノは頷いた。

その顔面は蒼白としていた。

乗り物酔いしたような、血の気がなく、呼吸も浅いように見える。

焦点も虚ろで定まっていない。

弱く上下する肩を目にして、どうしたのかと声をかけようとするが、既に彼の足は踏み出されていた。

「ちょっちょっと待てロヴィ!」

「お前はそこで公子を見てろ!」

「う……っ」

アントーニョが言葉を詰まらせた。

ロヴィーノとアントーニョの二人が行けば、私は一人になる。

かといって、未知の危険の中に私を連れて行く、という選択肢も、彼らにはとれないのだろう。

そして丸腰一般人の私は、足でまといになるに違いない。

アントーニョを一瞥して、ロヴィーノが静かに歩き出した。
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