第28章 on the planned system
チャキ、というひどく現実的な音が、私を呼び戻す。
気づくと二人は、私を囲むように立っていた。
背を向かい合わせて、前方を厳しく見据えている。
その手では、黒い金属が硬い光を放っていた。
――銃だ。
「なにがどうなってるのかサッパリやけど、あんましよくないってことはわかるで。空気がピリピリしてるしなあ」
絶句する私に気づいていないのか、アントーニョが朗々と言った。
対してロヴィーノは銃を構えて、油断なくあたりに目を配っている。
緊張に張りつめた瞳は、ゴーストタウンへの本能的な恐怖が映りこんでいた。
無音、そして無人。
、、、、、、、、、
だというのに、誰かに見られているというぞわぞわした感覚。
なぜ銃なんかを持っているのか、という疑問より、ロヴィーノがどれだけの恐怖に耐えているのかが気がかりだった。
「来たことがあるって、ここがどこか知ってるん?」
アントーニョに普段と変わらぬ声色で問われ、周りを見渡す。
前回――アーサーたち5人と移動し、ギル(のような人物)を見かけた――と同じような街並みに思えた。
西洋風の建物、道路、街路樹、無表情な曇り空。
見覚えがあるが、それだけだ。
「どこか、はわかりません。でもじっとしていれば、すぐ戻れるはずです。だから――」
続く声が途切れる。
くるっと振り返ってきたロヴィーノが、唇に人さし指を立てていた。
その指先は、微かに震えているようにも見えた。