第28章 on the planned system
空気が重たく頬をなでる。
その感覚とともに、私は目を開いた。
静かにその風景は広がっていた。
目眩に似た浮遊感――リアリティが欠如した感覚に襲われる。
音が、やんでいた。
呼吸すらためらわれるような静寂の中。
、、、、、、、、
私は誰よりも早く、何が起こったのかを理解していた。
「なん……で」
「ロヴィ」
小さく、しかし鋭く、アントーニョの声があがった。
呼びかけられたロヴィーノの肩が、ぴくりと動く。
混乱と不安がにじんだ瞳は、ゆっくり頷いた。
彼の足がじり、と動きかける。
それを見てハッと声があがる。
「動かないで!」
「っ!?」
悲鳴のような囁きに、ロヴィーノは体を硬直させた。
「……公子ちゃん……?」
アントーニョが訝しげに私を見やる。
ロヴィーノも戸惑った表情で、動きかけた姿勢のまま静止していた。
無性に喉の渇きを覚える。
、、
「――私は一度、ここに来たことがあります」
風もなく、音もなく、人も、鳥も、なにも生きているものがない。
かわりに無機質な建物が並ぶだけの、捨てられたような街。
全てが死んで止まっている世界。
私たちの目の前には、寒々としたゴーストタウンが広がっていた。