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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第28章 on the planned system


その端末は、大きめのスマートフォンのような形だった。

ディスプレイには、グラフ、デジタル時計にあるようなカクカクした数字、などが表示されている。

グラフはとても細かい折れ線グラフで、起伏がなく、ほぼ直線状態だ。

数字は小数点以下が5桁ほどある。

なんの機械か考えて、ふと菊の話を思い出した。

――消失点、再帰点、どちらにも、おかしな電磁波が計測される。

再帰点を前にして、ロヴィーノは電磁波計測器でも持っているのだろうか?

「行けそうって、まさか再帰点使うてみるつもりなん?」

「前回行けなかったからな、調査のためだろ? 今回は付き合ってやるよ」

「……公子ちゃんがいるからってカッコつけんでもえぇよ?」

「ちげーよ!」

怒鳴るロヴィーノの顔は赤い。

そんな彼に、微苦笑混じりにアントーニョが頷いた。

それから私の方をくるりと向き、

「公子ちゃんはどうする?」

と尋ねてきた。

テレポートのこと、ルートたちと話した記憶、アーサーとの約束が脳裏をかける。

“私”が“私”でなくなるかもしれない、そんな話が。

「……どうしても、行くんですか?」

「そやねぇ。少しでも情報が欲しいしな。あっ公子ちゃんは無理せんで待ったってていいで!」

朗らかな笑顔の中に、確かな意志があった。

あるかどうかわからない曖昧な危険性では、説得されてくれなさそうだった。

「……一緒に行きます」

ごめん、アーサー。

なにができるかは、わからないけど。

じっと座って待ってることはできない。

それに再帰点は、単に“再帰”する場所だ。

そこから移動できるのかにも興味があった。

「よし、ほなサクッと済ませるで!」

アントーニョが左手をつないできた。

びっくりして突然のことに心臓が跳ね上がるが、ロヴィーノもつながれたらしい。

アントーニョが部屋の中心に向かって踏み出す。

瞬間、横転した視界に火花が散った。
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