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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第28章 on the planned system


二人がサッと身を固くしたのがわかった。

冷えた目つきで部屋を注視している。

室内は無人なのだろう。

ならば、物音などするはずがない。

ということは――侵入者?

「……開けるで」

アントーニョの小声の号令、頷くロヴィーノと私。

ひと呼吸の後、扉が開け放たれる。

「「「…………え?」」」

侵入者でもなく、悲鳴でもなく、銃声でもなく。

間抜けな呟きが、三重奏を奏でた。

目に飛び込んできたのは、本、だった。

部屋の中央のカーペットに、投げ捨てられたように横たわっている。

4、5冊あり、雑誌のように薄い。

その内の一冊の表紙には、スク水を来た小学生低学年の少女が、猫耳をつけ、赤いランドセルをしょって、リコーダーをくわえつつ何故か顔を赤らめていた。

もう一冊は中が見えていた。

どうやら漫画らしく、体のラインがくっきり出るぴちぴちの衣装を来た、青緑色の長いツインテールで、ヘッドセットをつけた少女が、胸元を見せびらかすようなポーズでウィンクをしているのが見えた。

もう一冊は表紙だというのにやたらと肌色が目立ち――ってどう見ても圧倒的に“薄い本”だよこれ!

「な……なんなんこれ……」

「ここ再帰点なんじゃねーの」

拍子抜けした二人がぼやいている。

なぜだか本田氏の顔が思い浮かんだ。

そういや「薄い本が消えるんですよね~」みたいなことを仰っていた気がするぜ……。

つまり本田氏の薄い本の棚が消失点で、この部屋の中央が再帰点、ということだろうか。

私たちが盛大に脱力していると、

「まだ、行けそうだな」

なにかの端末を手にしたロヴィーノが、硬い声色でそう言った。
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