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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第3章 月夜にて


最悪のタイミング――深夜窓から忍び込み、服のはだけた少女を凝視している――に、彼はいた。

背中をだらだらと冷や汗が流れる。

とっさに彼は、ホールドアップのように手を肩まで上げ、無抵抗の意志を示した。

「菊ちょっと待て話を聞いてく――」

アーサーが言い終わらない内に、もの凄い形相で菊が向かってくる。

そして有無を言わせずネクタイを引っ張って、部屋を出た。

「やめ、ちょ、苦し――」

少女がいた部屋を出て廊下に出ても、まだネクタイは離されない。

首が締まり、冗談では笑えない呼吸困難に陥りかけるも、やっとリビングで解放された。

ピシャリと後ろ手に扉が閉められる。

アーサーからは、俯いた菊の表情が窺えない。

おまけに彼は沈黙しているという有り様だ。

慎重に言葉を選びつつ、アーサーは口を開いた。

「……そっ、その……菊を驚かせようと思って、窓から入ったんだが……」

「……」

「誰かいるとは思わなくてよ……い、いろいろ驚いて……」

「……」

「……えっと……」

「……」

「すみませんでした」
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