第3章 月夜にて
「……こんなヤバい状況の満月に、熟睡できるとはな」
半ば関心したように呟き、アーサーはしばらく少女を眺めていた。
「……待っ――」
と、不意に少女が声を発する。
突然のことにアーサーの肩が跳ねあがった。
しかし、他のアクションが続かない。
うめくような寝言のあと、少女はもぞもぞと寝返りをうった。
アーサーはホッと胸をなで下ろす。
「寝言かよ、驚かせやがって……――って、なっ!?」
思わず声をあげそうになり、慌てて口を結んだ。
彼が目にしたもの。
それは、浴衣からはだけた少女の肩だった。
(こっこいつまさか服の下になにも――!? つーか浴衣とやらをゆったり着過ぎだ! ただでさえ浴衣ってやつは……って早くこの部屋を出ねーと――)
「……アーサーさん?」
アーサーは、視界の端に棒立ちの人影をとらえた。