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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第27章 By the turning point


「公子!」

うしろから呼びかけられる。

振り返ると、アルが満面の笑みで抱きついてきた。

「ありがとう公子! 君のおかげで新しくわかったことがあるんだ!」

「え……?」

その言葉を耳にした瞬間、体が固まる。

呼吸も、瞬きさえも止まる。

聞き覚えがあった。

誰かに言われた覚えがあった。

『俺は予言する――』

「公子? どうしたんだい?」

アルの声も、よく聞こえなかった。

ギルを信じられない気持ちで見る。

――彼の“予言”は当たった。

エリザとたわむれている彼は、一体どういう意味であんなことを言ったんだろうか。

「おーい、公子ったら聞こえてるのかい?」

「ひゃ、ひゃふ!?」

呆然としていると、アルに頬を横に引っ張られた。

さっきといい今といい、欧米式の挨拶にはどうも慣れない。

アーサーもやってきて、消失点を使ったことをガミガミ怒られた。

「心配させんな!」とツンもなにもない直球のデレに、深く反省する。

今後は非常事態以外、消失点を使わないことを約束した。

やがてフランシス、アントーニョ、菊、などの面々も寄ってきて、戻っていた間のことを根掘り葉掘り尋ねられた。

私の無事(?)を確認したのか、今度はこちらが説明される番になった。

紙の資料を渡されたのだが、さっぱり理解できない。

波動関数やら、因果的閉鎖性やら、小難しい理系単語が飛び交っていた。

菊の熱心な説明を愛想笑いで受け流すのが心苦しかった。

わかったことといえば、量子論が本格的に関わってきている、ということくらいだ。

これは量子テレポーテーション説が濃厚になってきたかもしれない。
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