第27章 By the turning point
ギルは口の端をひきつらせて固まっている。
ルートは思考停止しているのか、ものすごい無表情だ。
アーサーに至っては、チンピラが眉をいかめしくさせるような。
ミルクティーを飲んだら、砂糖と塩が間違われていたような。
そんな顔をしていた。
ブォン、という音が空気を裂く。
見ると、エリザがフライパンを握っていた。
俯いているため表情は窺えない。
ギルがハッとして、弾かれたようにまくし立てた。
「お、落ち着け、これには深いわけがあってよ! 決してやましいことをしたわけじゃねぇんだ!」
言いつつ、ギルが一歩後ずさる。
その動作で、ますます彼の言葉の信頼性が地に墜ちていく。
沈黙のベールを脱いで、ゆっくりとエリザが顔をあげた。
彼女は、暗殺者のように無慈悲で、裁判官のように冷厳な瞳をしていた。
そして静かに、宣告が下る。
「言い遺すことはそれだけか?」
「ちょ、待ってくれ俺は――ぎゃああああああああああああああぁぁぁぁぁ」
会議場いっぱいに、ギルの断末魔が響き渡った。