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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第26章 電波塔クラスレート






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「公子、起きろ公子」

遠くから声が聞こえてくる。

あれ? うちのめざまし時計ってギルのボイス付き、とかだっけ?

そんな素晴らしいめざまし時計、買った覚えはない。

困惑しつつ、緩慢にまぶたをこじ開ける。

「お、公子てめーぐっすり寝すぎだぜ」

至近距離に、ギルの不満そうな顔がスタンバイしていた。

……なんで?

「……え……ええええ!? なんでギルがここにいんの!?」

「ちょっ、静かにしろ! 何時だと思ってんだ!」

「んんんんー!?」

とっさに口をおさえこまれ、起き上がったばかりの体がどすんとベッドに戻った。

地味な痛みに、だんだんと頭がハッキリしてくる。
    、、、
そうか、こっちに戻るとき、ギルも一緒に来ちゃったんだっけ……。

頭を軽く振ると、ギルがひとつため息を吐いて尋ねてくる。

「お目覚めですか、お嬢さん」

「お目覚めですよ。深夜1時58分でも」

ギルの言い方があまりに憎ったらしかったので、負けじと嫌味に返した。

そうなのだ、現時刻深夜2時近く、もうすぐ丑三つ刻である。

こんな時間にどうしたのだろうか。

というかめざましが鳴らなかったが、まさかかけ忘れたのだろうか?

「これ着とけ」

ハンガーにかけていた上着を放られる。

受けとり袖を通してはみるが、なぜ上着を着せられるのかわからない。

そんな私の怪訝な表情を見たのか、それとも見ていないのか。

ギルは有無を言わさぬ笑みで口の端を吊り上げ、ベッドにへたりこんでいる私に手を差しだす。

「出かけるぞ!」

草木も眠る真夜中、ギルの宣言が響きわたった。
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