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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第26章 電波塔クラスレート


その後、夕飯としてギルにおにぎりを献上した。

拾ってきた子犬に、こっそり餌をやるような気分だった。

座布団に正座でおにぎりと緑茶、という純日本式のおもてなしを、ギルは大層喜んでいた。

「ってぇー……まだ痺れが……うぁあッ!」

「もうこんな時間じゃないですか!」

純日本式のおもてなしの余韻にひたるギルに、時計を指さして言った。

20時、そろそろ今日が終わる。

「くっそ……俺様が……これしきのことで……っ!!」

「どうすればいいと思いますか?」

なおも私の話を聞かないギルの足を、手近にあったリモコンでつつく。

断末魔をあげてのけぞったギルに、質問をくり返した。

「今すぐ帰りたいですか?」

ギルは若干潤んだ目をむいて、なにか言葉を飲みこんでから言った。

「お前はなにも心配しなくていい。俺様の言うとおりにしてろ」

「はぁ……」

とは申しましても……。

「パソコン使ってもいいか?」

「あ、はいどうぞ」

依然として、ギルのペースにのせられたままだ。

パソコンをひらいたギルは、それから図書館のときのように、集中して画面に食い入っていた。

“エントロピー”、“物質波”、よくわからない単語がちらっと見えた。

邪魔するのも悪いと思い、23時を過ぎてギルに一言かけたあと、ひとまず私は睡眠をとることにした。

2時間後の目覚ましがきちんと鳴ることを祈って――。
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