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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第3章 月夜にて


「ったく、どいつもこいつも異変のことでいっぱいになりやがって」

ぼそぼそと悪態をつき、普段は使われていないはずの部屋の窓に手をかける。

音をたてないよう、ゆっくりと開いた。

(さぁて、菊のやつをどう驚かしてやろうか)



――つまりただ単純に、菊をからかいたかっただけである。構って欲しかった、ともいう。



アーサーは続く障子を恐々スライドさせ、そっと中を覗きこんだ。

すぐに、敷かれた布団が目に入る。

(誰だ? いつもは無人のはずだが……)

布団の主が寝息をたてているのを聞き、少しのためらいのあと、アーサーは部屋に足を踏みいれた。

枕のほうを見ると、見知らぬ少女が眠りについている。

「……女でも連れ込んで――いや菊に限ってそんなことはないか」

少女の無防備すぎる寝顔に気が抜けたのか、アーサーは思わず声をもらした。

月光を受け、その輪郭が青白く浮かび上がる。

「……」

狂気じみた満月の明かり。

それと対照的に、のんきで平和そうな寝顔。

アーサーは、不思議と少女から目が離せなかった。
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