第25章 雨の中へ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「なんでこんなことに……」
深いため息がもれる。
そんな私とは対照的に、となりではギルが意気揚々と歩いていた。
結局根負けして、外出することとなってしまった。
ギルの言葉を思い出す。
『アルがフォート氏を知らなかったこと、
お前がアッペルフェルドの猫を知らなかったこと、
どうしてだか知りたいだろ?』
……そりゃ気になるし、理由が判明したら私にも、ギルたちにも、大きな解決の鍵となるかもしれない。
しかしそれが、図書館へ行くことでわかるのかは、甚だ疑問だ。
っていうかアッペルフェルドの猫じゃなくてシュレディンガーの猫なのでは……と再三の疑問が湧いたところで
「はぁ……」
もう一度ため息をしつつ、ギルを見やる。
彼は男物の灰色のパーカーを着て、フードをかぶっていた。
パーカーは父のたんすから引っ張り出したものだ。
フードならば銀髪は隠れるし、せめてもの隠蔽ということで、なかば無理矢理着せたものだった。
下はジーンズで、一見したところ普通の一般人に見える。
……鋭く赤い目つきと、ここ日本では圧倒的に浮く顔立ちと、プラチナブロンドをのぞけば。