第24章 下位互換カソード
「おっ、おい! なに泣いてんだよ!」
「え……」
言われて頬に手をやる。
暖かいしずくが一筋伝っていた。
それは後から後からこぼれ、ますますギルをあたふたさせる。
「ちょ、ちょっと待て、どうしたんだよ、腹でも痛いのか!? 落ち着け!」
落ち着くのはお前だと言いたかったが、
「……だって、殴られ……かと思っ――」
出てきたのは、そんな嗚咽だった。
ギルが数瞬停止したあと、はたと気付く。
いや、その、すまねぇ、などと口々にまくし立てている。
その慌てっぷりがルートとそっくりで、だんだんと笑えてきてしまった。
涙を浮かべながら笑うという愉快な状態の私に、バツが悪そうに
「……俺だって泣きてーよ」
とギルがこぼす。
その拗ねたような言い方に、笑いのタガが外れたのか、いよいよ笑いが止まらなくなってしまった。