第24章 下位互換カソード
「……公子」
まるで長い夢からさめたような顔だった。
驚きに目をしばたいている。
久しぶりに会ったような、いや、ずっと探していたなくしものを、思わぬところから見つけたような。
そんな表情をしていた。
「本当に……公子なんだな……」
泣きだしそうな視線で、噛みしめるように私の名前を呼ぶ。
途中までこちらに伸ばされた手が、ぴたりと静止した。
なにかを躊躇し、そして諦めたように。
静かに手が床に落ちていく。
眉間のシワがとれて、ハの字に歪んだ眉がやわらかい、泣き笑いじみた表情をつくった。
ドキリとするほどその目は優しい。
やがてそこに確固たる決意が宿り、曇りない双眸が私をまっすぐに見つめる。
その瞳が、ふと見開いた。