第24章 下位互換カソード
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パリン――
なにかが砕かれる音が、耳の奥に響いた。
予期していた衝撃や痛みはない。
彼の手は音の発生源、私の耳もとの床に沈んでいた。
私は視線だけを移動させ、ギルの手を見やった。
それに呼応するように、ギルの手が上がる。
とともになにかの破片がパラパラと落ちた。
金属やプラスチックのようだ。
その破片が落下していった、手があった場所には――粉々に破壊された、角砂糖大ほどの機械があった。
「あの……野郎」
呪いを口にするように、ギルは低く呟いた。
苦々しく顔を歪め、目には怒りを点している。
彼は体を起こし、私の体は自由になった。
……怖かっ、た……
ずる、と投げ出されていた足を、体を起こすためにひきずり寄せる。
すると、ギルと目があった。