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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第24章 下位互換カソード


「ぎゃあああああっ!?」

エリザの囁きは背後霊のようだった。

アルは恐怖で飛びのき、あわや携帯が放り出されそうになる。

金切り声で絶叫したアルは、エリザを見てさらに叫びそうになった。

彼女は、脱獄してきた死刑囚のような顔をしていたのだ。

そしてその手には、いつどこから取り出したのか、フライパンが握られている。

血でも滴らせれば、フライパン連続凶悪殺人犯のできあがりだ。

「どっどこからそのフライパンを!?」

「大丈夫、オリハルコン製だから」

「伝説のフライパン!?」

「クソ野郎の石頭をかち割れるくらいはできるわ」

「かち割るどころの惨状じゃないですよ!!?」

「トゥースキュアリーすぎるよ!!」

マシューとアルの訴えに、エリザは「うふふっ」と笑んだ。

2人の背筋にぞわりと冷気が這う。

先ほどの可憐な笑みとは似ても似つかない、しかし本質的に同じような笑みだ。

ふわりと揺れる花の髪飾りが、よりちぐはぐで異様な雰囲気を彼女に与えていた。

「公子ちゃんを散々連れ回して挙げ句そのまま連れ去ったなんて……一体ギルベルトはどう落とし前つけるつもりなのかしら」

「いや、ちょっと違――」

「あら? なにか違った?」

「い、いやいやなんでもないです!」

エリザを遮ったアルの口を、マシューは慌ててふさいだ。

固い笑みで口元を引きつらせながら、目で(マズいよ黙ってアル!)と送る。

唇に薄い憫笑をみせて、エリザは廊下を歩き出した。



「……」

「……」

「……女の子って……怖いんだぞ……」

エリザの背を見送り、マシューと目を合わせる。

2人の深いため息が、書類の上に落ちていった。
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