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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第24章 下位互換カソード


「Hello!」

『大変なことになったんだアル! お兄さんもう手に負えない!』

受話器を手にしていなくても聞こえるくらいの声量が飛び出した。

向かいになっているマシュー、そばに立つエリザにまで聞こえるほどだ。

通話の相手――フランシスは、よほど切羽詰まっているとみえる。

携帯を耳からやや離して、アルは引き気味に言った。

「フランシス、少しボリュームを――」

『あかんて! なんで電話してもうたんや! しかもよりによってアルフレッドに!!』

『だから言ったでしょ!? 黙ってあとでルートから迫られてうまく切り抜けられる自信がないの!! それに肝心のルートの携帯繋がんないし! もうお兄さんやんなっちゃう!!』

「あー……もしもし?」

アルは携帯側の片目を細め、対応に困った顔だ。

全てが聞き取れたわけではなかったが、なにやら電話相手側でモメていることは、マシューとエリザにもわかった。

「一体どうしたっていうんだい?」

『公子ちゃんが消えたんだ!』

「……それは“戻った”、ってことだと思うんだぞ」

一度見た経験があるため、アルは冷静にこたえた。

『それだけじゃなくて、ギルも一緒に消えちゃったのよ!』

「なっ、なんだって!?」

予想外のことに、アルの声も負けじと大きくなる。

「……アル、今ギルとか消えたとか聞こえたんだけど……」

マシューが怪訝そうに小声で言った。

アルはゆっくり頷く。

「ギルベルトと……公子が――」

「ギルと公子ちゃんが…………なんだって?」

思考の海に溺れかけたアルの耳に、氷点下の囁きが低く響いた。
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