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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第24章 下位互換カソード


「アル、僕思ったんだけど公子さんって――」

ふいに、マシューを遮るパタパタとした足音が聞こえてきた。

誰かと思い、2人が音のほうに視線を向けると、

「……あら? お2人さんじゃない」

廊下を歩いていたのは、エリザだった。

エリザは2人のテーブルに歩み寄り、

「これをどこかで見なかったかしら?」

と言って、右手に持っていた携帯から写真を見せた。

そこには一円玉大ほどのボタンが写っていた。

灰色で穴は2つ、縁にちょっとした模様のついた、可愛らしいボタンだ。

「公子ちゃんのものなんだけれど、1つ取れてどこかに落としちゃったみたいなのよ」

困った顔で眉をさげ、エリザは再度「見かけなかった?」と尋ねる。

写真を見ると、1番下のボタンがなくなっているようだった。

2人はしばし記憶をたぐるが、思い当たるものはなく首を左右に振る。

エリザは残念そうに「そう……」と言った。

「俺も探すの手伝うよ!」

「ありがとう。でも菊さんが手伝ってくれてるから大丈夫よ」

やわらかくエリザは微笑み、

「それに、なにやらお取り込み中のようだから」

と、書類に目配せした。

そう言われ「あはは~」と弱ったようにマシューは笑う。

エリザも穏やかに「うふふ」などと口元に手を添え、優雅に微笑していた。

そのなんだかよくわからないほほえみ空間がひろがっていると、

『USA! USA! U! S! Aーーッ!!』

けたたましい騒音を轟かせ、アルの携帯が着信を知らせた。
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