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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第24章 下位互換カソード


「フォート氏って、さっき話してた人のこと?」

アルは頷く。

「チャールズ・ホイ・フォート。アメリカにおける超常現象研究の先駆者――って公子は言ってたけど」

「調べたけど見つからなかったんだっけ? そんな名前僕も聞いたことないよ」

「俺もだぞ。けど彼女が嘘をついてるようには見えなかったし……」

マシューが違う書類を見ながら言う。

「フォート氏が起爆剤となって急激に研究が進んだ……という話らしいけど、実際のところ研究の進みはゆっくりだったしね。
なにより“フォート氏”のような、象徴的な研究者はいなかった」

「見つかるのは細々した研究者ばっかりなんだぞ」

「うーん……そもそも、超常現象関係の有名人でアルが知らないなら、その存在さえ僕には疑わしいんだけど」

「もしかしたら、君みたいに影のうっすーい人物だったんじゃないかい?」

マシューがゆるく丸めた紙でアルの頭をこづいた。

ごめんごめん~と笑うアル。

マシューはひとつため息を吐いて、当然の疑問を口にした。

「公子さんの世界と僕たちの世界は、歴史とかがかなり違ってるのかもよ?」

「俺もそう思って菊に聞いてみたんだ。それで菊が言うには、ほぼ同じらしい」

「なんで?」

マシューが首を傾げる。

アルは腕をあげ、肩をすくめてみせた。

「わかんない」

「えぇっ!?」

「『オタクの勘ですっ!』」

アルは突然奇声をあげ、腕をシュビッ! と交差させ謎のポーズをとる。

そして数秒後憑き物が落ちたようにポーズをとき、真顔で言った。

「――って言われたんだ」

「あぁ……」

マシューはなにかを察したようにそう声をもらした。
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