第24章 下位互換カソード
「アル、ここの数値ってさ――」
自動販売機のある小さな休憩所に、2人はいた。
ムスッとした顔で窓の外を睨んでいるアルと、書類を読んでいるマシューだ。
2人掛けのテーブルに、向かいになって座っている。
「やっぱり公子さんの出現が関係してると思う。ある意味消失点に似た……って聞いてる?」
「聞いてるよ」
憮然としてアルは答えた。
顔は窓に向けたままだ。
「仕方ないよ、むりやり再開してもいい話し合いはできないさ」
「それもわかるけど……」
マシューは苦笑する。
公子を連れ出され、挙げ句悪友3人衆にも拉致され、彼女の行き先はわからなくなってしまった。
さらに停電、会議場に戻らない主要メンバー。
会議は中断を余儀なくされ、現時点では休憩が延長されている、という状況だ。
アルがこんなに不機嫌なのも無理はない、とマシューには思えた。
しばらく放っておこうと書類に目をやっていると、
「フォート氏のこと、どう思う?」
机に腕を組んで突っ伏したアルが、視線だけをあげて尋ねてきた。