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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第23章 消失のための再帰点より


そう言った瞬間、体がふわりと浮いた気がした。

重力が弱まったような、不思議な感覚に浸される。

と同時に、見慣れたきらきらした粒が自分の体から立ち昇りはじめた。

室内の風景がすり硝子越しになり、酩酊感が頭を揺らす。



――これは、"戻ってる"のか……



ゴーストタウンのことを伝える、その目的は果たせた。

だから、彼らと顔を合わせるのはこれで最後。

そしてもう、二度とない。

そう思うと、なんだか泣きたくなるような、それでいて安堵するような感情が胸に広がっていく。

『異常なエネルギー値』

アルの言葉が蘇る。





――“私”は、この世界に来てはいけなかったのかもしれない――……





「公子っ!」

全てがぼやけた世界に、クリアなものが現れた。

腕を掴む手。

呼ぶ声。

――振りほどかな、きゃ……

わけもなくよぎる衝動も、必死な赤い瞳も、全てがのみこまれた。
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