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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第23章 消失のための再帰点より









――……

……

感覚が戻り、あたりを見回す。

見慣れた自室の床で、私は仰向けに倒れていた。

ひとまず体を起こすため肘を立てようとすると、突如のしかかってきた重みに失敗する。

眼前に大きな影が立ちはだかっていた。

いや、

「なっ――!?」

部屋に、ギルがいた。

それどころか、床で仰向けになっている私を、床に手をつき四つん這いに近い格好で見下ろしている。

さっきと同じような体勢だが、今度はそれ以上にマズい。

この体勢ってまるで――

「……ま、また本棚でも倒れて……」

続けようとした言葉が、ぷつりと途切れる。

ギルは無機質な表情でこちらを見下ろしていた。

それは、「見られちまったか」と返答した時の目と同じ目だった。

なにを考えているのかわからない、爬虫類のような瞳が、私の目の奥を貫いていた。

彼はおもむろに左手を床から離し、自分の顔の近くまで上げる。

そして、静かにそれを拳の形に握りしめた。

「……ど、どいて……ください」

口が乾いて、ひねり出した声がかすれる。

彼は無言のまま、口元を微塵も動かさない。

電灯の逆光で陰になるギルの顔は、私の声など届いていないようだった。

背骨がギシギシ冷たく軋む。

体の動きは制限され、腕の中から抜け出せない。

ギルが拳をふりあげる。

「やめて――っ!」
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