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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第23章 消失のための再帰点より


「――とでも言って欲しかったのか?」

「…………へ?」

冷たい宝石のような瞳が、フっとやわらいだ。

人形じみた無表情はいつものふざけたしたり顔に変容し、口の端がにやついている。

そればかりか、やれやれと肩をすくめてみせている始末だ。

……つまり、どういうことだってばよ?

「も……もうっ、ふざけないで下さい! マジでびびったんですからね!」

「いや~公子のまぬけヅラがあんまりにも面白くてよ」

「純情を踏みにじられたって弟さんに言いつけますよ!」

「やめろ誤解をうむからその表現!!」

かたわらでヒィヒィしながらフランシスが、和やかにアントーニョが、それぞれ笑っている。

実に癪だ。まんまと騙されたのは、私だけだったのだ。

必死に私をなだめながら、ギルが言い聞かせてくる。

「公子が言う時間、今みたく3人で図書館にいたからな。んなおかしな場所の話は寝耳に水だぜ」

「といっても、図書館では個別行動だったからわかんないけどね」

茶化すようにフランシスが横槍を入れる。

ジト目をするギルに「ま、アリバイはあるってことで勘弁してあげて」とフランシスがこちらにウィンクしてきた。クソが、イケメンだから何もかも許されると思ったら大間違いだ。

「そうですよね!」

「ほら~公子ちゃん納得してくれたよ」
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