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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第23章 消失のための再帰点より


言いたいことを言い終えたのか、ギルは読書に戻ってしまった。

私の隣で分厚い本を読みふけっている。

ギルの向かいで、同じくフランシスも優雅にページをめくっていた。

と、私の向かいに座っていたアントーニョが再び尋ねてくる。

「なぁなぁ、眉毛になんて言いかけてたん?」

あぁそれか……

ここで2つ問題がある。

1、アーサーの口止めを無視っていいのか。

2、ギルにゴーストタウンにいたことを聞くべきか。

「…………」





さんざん葛藤したすえ、洗いざらい吐いてしまうことにした。

私だけが辿りついたゴーストタウン。

そこに現れたギルの影。

そして――“彼”のこと。





「……ということなんですが」

一区切りつき、アントーニョとフランシスを見る。

2人はいまいちパッとしない表情をしていた。

理解したのかしていないのか、なにを考えているのか、見てもわからない。

残る1人、ギルはというと、俯いてどんな顔をしているのか窺えなかった。

しばしの沈黙ののち、

「……見られちまってたか」

そう、低い響きが室内を震わせた。

ギルは顔をゆっくりあげ、私の視線を絡め取る。

その顔は感情が読み取れず、作り物じみていた。

どこまでも冷静でいて、それゆえに次の瞬間なにをしでかすかわからない、そんな顔。

「マズいよな……お前に“あれ”を見られてたなんて」

確認するような、抑揚のない声。

凍てついた瞳の赤に、自分が息をのむのがわかった。
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