第23章 消失のための再帰点より
なおも話し合いは続いていた。
仕方なく、親分が買ってきた苦いレモンスカッシュ(イギリス製)を飲みながらそっぽを向いていると、
「そや、会議場で眉毛に言いかけてたことはなんやの?」
「っ!?」
不意に顔を覗きこまれ、驚いてむせてしまった。
アントーニョが慌てて謝り背中をさすってくる。
口元をぬぐいながら、私は一つ息をはいた。
「……ずっと思っていたんですが」
「ん?」
「全世界規模の問題なのに、皆さん少し非協力的ではないですか?」
「非協力的って?」
明らかに理解している顔でフランシスが尋ねる。
それが気に食わずジト目で睨むと、途端に彼は表情を崩した。
「やっぱりそう思う?」
「そりゃあなんでもかんでも情報開示、とはいかないとは思いますけど、それにしては……なんというかグループで固まってる、みたいな――」
「ははっ公子ちゃん鋭いなぁ、メイド服も似合ってるし」
「本当にやめてください」
「なに? 照れてるの? あ~もうかわいい」
「変な手つきで近づいてこないでください!!」
及び腰になって後退りしていると、ギルがどこか遠くを見ながら口をひらいた。