第23章 消失のための再帰点より
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到着した場所は、関係者以外立入禁止の書庫だった。
が、フランシスに「大丈夫大丈夫誰も来ないから」と押し切られ、まだとどまっている。
正直、狭いし、ほこりっぽいし、薄暗いし、本に囲まれた部屋は、居心地いいとはいえなかった。
「喉渇いたからなんか買うてくるな」と言って唐突に飛び出したアントーニョが、飲み物+保冷剤(おそらくギルの打撲箇所冷却用)を持って戻ってきたのが今さっきだ。
それまで、フランシスとギルは本とにらめっこしていた。
ここに来てからずっとである。
私は放置されていた。
――てっきり質問攻めにされると思ってたけど……
そんな私の様子に、ふぅ、と椅子にくつろいだアントーニョを含めた三人が、やっと口をひらいた。
話題の預言者”O・N・ネウ”のパソコンの発信元を探していたこと。
その発信元が、フェリちゃんたちといたあの部屋だと特定されたこと。
しかし部屋にはルートのパソコンしかなかったので驚き、とりあえず私を拉致することになったこと……って
「いやいやちょっと待って下さいつながりおかしくないですかおかしいでしょ」
「“なりすまし”だったんやないの?」
「んなわけあっか。俺様の索敵は精緻でいてかつ正確だ、なりすましくらい見抜けるぜ」
「ってことは弟さんのパソコンが発信元、ということでいいの?」
「うっ……」
「あの聞いてますか?」
無視、というか話に入れない。
男子の盛り上がりの中心でぽつんと立っている気分だ。
拉致したのに放置とはなかなかやりおる。