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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第23章 消失のための再帰点より


どうやらここがテレポート先らしい。

本を保管する小さな物置のようで、テレポートする前の(取り壊し予定の)棟の一室とあまり変わらない気がした。

扉を出ないとわからないが、図書館にある第○書庫、みたいなものだろうか。

ギルは、同じく倒れて床にへばっていたフランシスにも手をかしていた。

おそらく、部屋が狭いゆえに再帰点が近く、互いにぶつかってバランスを崩したのだろう。

互いが互いに突然現れたに等しい状況だ。

さらに立てかけてあったはしごにも衝突して、この有様だといえる。

「あ、ありがとうございます、すみません」

「ん? あぁ。怪我ねぇか」

「ありません、むしろあなたの方が怪我を――」

「大丈夫だっつの。なにせこの俺様だからなっ!」

そして例のごとく高笑いするギル。

これは……かなり無理をなされてるな。

私はごくごく弱く、ひよこをつつくような力で、ギルの頭に人差し指をツンと当てた。

途端ギルはその部分を手でおさえ、犬歯をむき出しにキレ顔で私を睨みつける。

それどころか、瞳がうっすら潤んでいるではないか。

本当に申し訳ない心地でいると、

「初テレポーテーションがこんなところなんてねぇ」

頭をかきながら、やれやれとした口調でフランシスが言った。
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