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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第23章 消失のための再帰点より


「わっ!? ちょっ――!!」

フランシスの鋭い声が耳をつく。

傾く世界。重い背中。その重みでバランスを崩し、派手に前のめって倒れる。

手をついたのはフローリングの床だ。

どうやら再帰点についたらしいが――

「公子っ!!」

「え?」

首をひねり顔を天井へ向ける。

すぐ近くにギルの焦った顔があった。

というかなぜか馬乗りのような体勢をされている。

様々な意味で奇声をあげそうになるが、硬い衝撃音がそれを遮った。

思わずつむった目を恐る恐るあけると、

「なっ――ギル!」

私に覆い被さったギルに、はしごが倒れていた。

本もいくつか床に散らばっている。

中には鈍器になりそうな、分厚い辞典もあった。

ギルがかばってくれなければ――その下敷きになっていたのは私だ。

「しっ死なんといてギル!」

慌ててアントーニョがはしごをどかし、ギルを起こそうとする。

わざとらしくも見えるその慌て具合に、ゆらりとギルが立ちあがった。

「俺様がこんなんで死ぬわけねぇだろ」

そう真顔で低く言って、私に手をさしのべた。

ドキドキがまだ収まらないまま、手を取り立ちあがる。

せまく薄暗い書庫に私たちはいた。
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