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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第21章 乖離する声を


我に返ったルートが追おうとするが、それより先にギルの体躯が翻る。

ドアすぐそば、空の本棚の枠へ躍るようなステップで足をひっかけるギル。

支点に力が加わったのか、たやすく骨組みの棚がバランスをくずす。

それは2つ3つの棚を巻き込み、ギルのいる扉に倒れ――

「兄さんっ!!」

――る前に、重力が軽くなったような身のこなしで、ギルが扉から廊下に転がり出た。

ガラガラと音を立て、本棚の入り組んだ骨組みが扉の前に立ち塞がる。

「そんな腑抜けたマネを教えた覚えはないぜ!」

ケセセセ! と扉の外で高らかにギルが笑い、私と悪友3人は走り出す。

「あの、ちょっとお聞きしたいんですが――」

「さっすがギルちゃんや!」

「持つべきものは友だねぇ」

「ケッ……ケセセセ! かっこよすぎる友を持ったことを誇るといいぜ!」

あまりに嬉しそうなギルの話の腰を折ることに気が引けて、私はしゅんと黙りこんだ。





ッダーン!





大音響に空間が震える。

本棚を片づけ(物理)て、ルートがもう扉からゆらりと姿を出していた。

その俯いた瞳に、銃の照準のような赤い光点が走る。

肌が粟立った瞬間、弾丸となってルートはこちらへ駆け出た。

髪が煽られるような、ブワッ! と威圧感の波が押し寄せる。

凄まじいプレッシャー。

「うわヤベ」

「ちょっと大丈夫なの!?」

笑みを崩さぬまま、ギルは冷や汗を垂らす。

フランシスも焦りの滲んだ情けない声で騒ぐ。
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