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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第21章 乖離する声を


ルートだけでなく、菊やフェリちゃんも顔を出したのが見えた。

ルートが追いつくまでのカウントダウンは0に近い。

と、一番先頭、数歩先を走っていたギルが廊下の十字路にさしかかった瞬間――

ギルの姿がフッと掻き消えた。

いや、光の粒子を放ち、まわりの風景を歪めていなくなったのだ。

「なっ、ギル!?」

「……フランシス、あれきっと消失点や! 飛び込めえっ!」

「ええええ!?」

激しく嫌そうに叫ぶ間もなく、2番目を走っていたフランシスも同じように消える。

これは――どう見てもテレポートじゃないか!?

アーサーも扉から姿を現した。

テレポートを見ていたのか、その瞳に戦慄が映っている。

怒りと懇願が混ざった表情で、口が「やめろ」と動いたのが見えた。

「待ってください、これ危な――」

「ほななクソ眉毛!」

私の話も聞かず、アントーニョは消失点の十字路へ踏みだした。

途端視界が反転、グラッと傾き縦も横もめちゃくちゃになりだす。

粒のような、波のような光の先に、決死の形相でなにかを叫ぶアーサーが見える。

私を抱えているアントーニョの腕も、古い建物の匂いも、髪をすり抜けていた風も、なにも感じられなくなっていく。

「やめろ――!!」

最後に、悲鳴にも似たアーサーの絶叫が聞こえた。
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