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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第21章 乖離する声を


「!?」

フェリちゃんの指摘に残る3人も気づいたのか。

ハッとして顔色を変える。

アーサーの瞳は困惑に満ち、足音がした方角の壁に視線が注がれていた。

冷たい床をいくつかの足が叩いている。

何人かはわからない。

話し声がかすかに聞こえてくるが、“声の気配”という表現が正しいほどのボリュームだ。

「そんな……ここに来る奴なんていないはずなのに……!」

声をひそめてアーサーが呻く。

「もうすぐ取り壊される棟、というかいつ倒壊してもおかしくない建物なので誰も来ない、と聞いたのですが……」

「いつ倒壊してもおかしくない!?」

その表現に、思い出したように寒気が背中を駆けのぼる。

怖すぎんだけどそれ!

足音は緩やかに、しかし確実にこちらに近づいてくる。

フェリちゃんがふえぇ! とルートの背中に隠れた。

菊とアーサーも、ルートの影になるようにして身を強ばらせる。おい。

私ももちろん目の前にはルートの頼もしい背中だ。

両手で背中のものを庇うように、ルートは臨戦態勢(?)に入った。

足音が大きくなる。

何人だ? 結構多い。

と、話し声がぴたりと止んだ。

フェリちゃんが押し殺した短い悲鳴で息をのむのが聞こえる。

顔の見えない足音だけが、心臓の鼓動と同じ速さでこの部屋に近づいてくる。

「やっぱり俺たちを消しにきたんだよ!」

そんなわけない。馬鹿馬鹿しい。非科学的すぎる。

頭ではそうわかっているのに、焦燥と恐怖がその冷たい手で内臓をわしづかんで離さない。

飲み込んだ悲鳴を吐いてしまいそうだ。

悪い冗談みたいなタイミングで蛍光灯がチカチカ明滅しだす。

全くもって悪趣味極まりない。

やや長い闇の後、足音が止み、光がつく。

静寂が空間に降り――
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