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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第21章 乖離する声を


「そもそも存在とはなにか?」

「えっ、えーと……原子?」

「ならば同じ原子を用意すれば、同じ人間が作れるのか?」

「ヴェー……それはどうだろう?」

「それは違う。原子だけでは作れない。原子の配置、運動量も必要だ」

哲学的な問いかと思えば、すぐさま科学的に移り変わる。

そんな問いに、フェリちゃんはたじたじとなっていた。

話についていこうと必死だ。

いや、おかしな受け答えをして、真剣そのもののルートを怒らせはしないかと緊張気味、ともいえる。

私はピンクレモネードをちびりと飲んだ。

「しかし、ここでハイゼンベルクの不確定性原理、というものが問題となる。
位置と運動を同時に観測することは不可能、という原理だ」

「物質がどこにあるか、どう動いているか、これを同時に知ることはできないという自然界の原理です」

白旗を出し始めたフェリちゃんに、菊が助け舟を出した。

「位置を知れば運動が不正確になり、運動を知れば位置が不正確になる。
この原理は量子論の基本だ。そしてその量子論には、一見テレポートを妨げるように見える定理がある。
それは量子非複製定理だ」

フェリちゃんがおずおずと頷く。

うー頭が混乱してきたぞ。
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