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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第21章 乖離する声を


「――量子テレポーテーションについてだが」

ルートが厳かに、話し始めたからだ。

聞く者を黙らせる迫力に、私たちは頷くしかない。

ところが、

「あのさー……俺、さっきの説明聞いてなかったんだよね」

フェリちゃんが恐る恐る、しかしあくまでも朗らかな声色で口をだした。

ルートはひとつため息を吐いて、やれやれと説明し出す。

枢軸には甘いよな隊長。

「量子テレポーテーションとはざっくり言うと、完全なクローンを作ることだ」

「瞬間移動させるんじゃなくて?」

「移動させるのは“情報”だ」

「?」

キョトンとフェリちゃんが首を傾げた。

最後まで聞けと無言で言いながら、ルートは続ける。

「この前のテレポートを例にとる。

まず駐車場の消失点で、フェリシアーノの体を構成する原子を、完全に量子化――テレポートしやすい状態にする。

スキャナに取り込むというか、コピー機にスキャンさせるようなものだと考えていい」

スキャンという言葉に、フェリちゃんがヒィッ! と短く叫ぶ。

「そのスキャンした情報を、カークランド宅の再帰点へ送る」

「ヴェー……」

「カークランド宅の再帰点で、その情報からフェリシアーノの体を再実体化させる。

このプロセスが瞬時に行われるのが、量子テレポーテーションだ」

「なんか……FAXみたいだね」

フェリちゃんがふと呟いた。

紙をスキャンさせ、送り、その送り先で再び紙に直す。

あながち間違っていない。

ルートはためらいがちに頷いてから、フェリちゃんをビシッと指さした。
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