第20章 追跡先へ
「テレポートしたとき、私だけ変なところを経由したんです」
聞かれる前に言う。
アーサーは驚くと同時に首を傾げた。
「駐車場から俺の家へ一瞬で移動したはずだ。どこも経由してないと思うが」
「それが、駐車場ともアーサーさんの家とも違う場所で、しかもあたりに――誰もいませんでした」
「今まで何回かあのルートを使ったが、どこかを経由したことなんて一度もなかったぜ?」
アーサーは一層困惑に眉をひそめる。
話を聞いていた三人も不思議そうにしていた。
アルはわからないが、どうやら私だけがあの場所を経由したらしい。
アーサーが深く考えこみ始める前に、私は尋ねた。
「あの、もう一度アーサーさんが使ったテレポートを説明してもらえますか?」
神妙な面もちで頷くと、彼は説明し始めた。
「消失点では時間を置いて消失が起こる。常に移動が起こってるんじゃない、この前提は知ってるな?」
私は頷く。
ランダムかもしれないし、何らかの影響を受けているのかもしれない、そう言ってたな。
「だから俺もタイミングを完全に把握してるわけじゃない。あのときはたまたま運が良かっただけだ。
それに、前にも言ったように、虫の知らせみたいな曖昧なかんじなんだ。あえて言葉にするなら、魔力を感じたとしか言いようが――」
「ありがとうございますよくわかりました」
丁寧な礼で遮ると、アーサーは若干気に入らないのかやや口を尖らせた。