第20章 追跡先へ
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「……あっ」
わりとすぐに回復したのか、視界が明るくなる。
フェリちゃんがキョトンとしていた。
彼の仕業ではないようだ。
じゃあ一体――
「あ゙ーっ!! マジじゃんけんとかどうでもいいから吐け!! お前なに言いかけてたん――」
「フェリシアーノがチョキで勝ち、時計回りにフェリシアーノ、本田、カークランドの順だ」
「っ!!」
びくっとして冷静すぎる声の方を向く。
例の暗視スコープをごく普通に、自然に、違和感なさすぎに装着していたルートがそう宣言した。
アーサーが、何をどこからどうすればいいのか、困惑を極めた表情で唖然としている。
その気持ちわかるぜ。
「また会えて嬉しいよー! なんともなかった?」
というわけで。
フェリちゃんの花が咲いているような満面の笑みが、トップバッターとなった。
「なんともありませんでした。ここに来た瞬間も、熱が出たり、気持ち悪くなったりしませんでしたし」
そうなのだ。
、、、
今までは飛んだ瞬間、発熱や吐き気を催した。
しかし今回は、そのような目立った症状はなかった。
(他の要因があまりにもあまりにもだったせいもあるが)少し熱っぽいくらいだった。
3回目だし、体が慣れてきたんだろうか。何に対して慣れるのかわからないけども。
「そっか、それならよかったよ~何かあったらすぐ言ってね!」
「はい! ありがとうございます」
私はそれから、話さなければならないことがあり、再び来たことを話した。
フェリちゃんは頷いて、
「こっちも公子ちゃんがいない間にね――」
「その話は私が詳しく申し上げます」
菊が静かに遮る。
「そうだね、菊の方が説明うまいし……じゃ、バトンタッチ!」
フェリちゃんも同意して、菊のターンとなった。