第20章 追跡先へ
「ずっと奴が使ってるPCの発信元を探してたんだよ。けどさっぱり捕まんねぇんだ」
「全世界規模で血眼になって探してんのに見つからない奴が、ギルちゃんひとりに見つけられたら世話ないで」
「香やヨンスと協力してたんじゃ?」
フランシスが尋ねると、ギルは椅子を回してパソコンに背を向ける。
二人の視線の中、ギルは神妙な面もちで頷いた。
「それがよ、パタンと連絡が途絶えたんだ。こっちからの電話に出もしねぇし、今日の会議も二人揃って欠席だし、菊や耀に聞いてもあいつら黙りやがるし」
仲間外れを食らったような、不満気なギルの声色。
フランシスも思い出すように視線だけを左にやる。
「そう言われると、湾ちゃん青い顔してたような……」
「ていうか亜細亜組の雰囲気暗かった気がするで。なんや不気味やった」
「コイツが気づくって相当だよな」
ギルはひとり頷く。
香とヨンスになにかが起きた、それは容易に推測できることだった。
なのに、一応協力体制を敷いているというのに、菊や耀、湾がなにも言ってこないのが度しがたかった。
――情報の共有は基本中の基本だろ?