第20章 追跡先へ
「追いかけっこしてんだよ」
「誰と」
「Prophet des Endes――終焉の予言者、とだよ」
「……なんて?」
アントーニョは眉を寄せて、怪訝そうに聞き返した。
そばで聞いていたフランシスは苦笑いする。
二人の反応にギルはわざとらしく鼻を鳴らして、とても楽しそうにやれやれと肩をすくめた。
「ったくこれだからな……」
「いい加減そのネーミングセンスどうにかならない?」
切実なフランシスの提案も、全く耳に入っていない素振りでギルは
「O・N・ネウだよ」
と、言った。
どうだ! と言わんばかりの得意顔のギルだが、肝心のアントーニョは笑顔のままだ。
道を歩けば名前を聞くほど話題になっている、人物の名前が飛び出したというのに、驚いたりしていない。
至ってのほほんとしている。
「あーさよかー」
「おい絶対わかってないだろ!」
「わかってるで。めっちゃわかってるで」
「その顔で言うか!? うわなんかその顔すっげームカつくわ!!!」
温度差の凄まじい二人をなだめながら(主にギルを)、フランシスは話を続けるよう促した。