第19章 会議は笑わない
廊下まで真っ暗だ。建物全体が停電なのか?
しかし私を抱えた人物は、迷いない足取りで走っている。
支える腕が、前回と違ってどこかひょろっとしていた。うーん誰だかさっぱりわからない。
ドアを開く音がして、どこかの部屋に入ったのがわかった。
そこでパッと明かりがつく。
机、棚、椅子など最低限のものしかない殺風景な小部屋――で椅子に座っているルートがまず目に入った。
続いて私を抱えた、ガスマスクとゴーグルの中間みたいなマスクで顔を覆った――って誰!?
「誰っ!? ホントに誰!?」
「ごめんごめん~」
いかついマスクマンは、似つかわしくない軽い口調とともに、私をそっと椅子におろす。
それからマスクを脱ぎ捨てると、
「……え」
ひなたぼっこ中のような笑みを浮かべた、フェリちゃんが顔をだした。
「びっくりさせちゃってごめんね。どっか怪我してたりしない?」
「いえ、なんとも……いや、てか、まさかそれ……暗視スコープ!?」
「停電中だから必要でさ~ルートに貸してもらったんだ! かっこいいよね~!」
「あ……はい……」
私が全てのツッコミを放棄していると、ルートが近づいてきた。
小難しそうな本を片手に、真剣な表情をしている。
眼鏡とうっすらにじむクマが、よりそれを色濃くしていた。
一体なにから詰問されるんだろうか――