第19章 会議は笑わない
「っ!?」
突如として視界が暗転する。
視界いっぱいになだれこむ闇。
これは――停電!?
「み゙ゅっ!!」
口元が押さえつけられる。
声を上げようとした私を、黙らせるように。
急に背筋がぞわりと震えた。
こんな真っ暗闇で誰が何するつもり――!?
と思うと口元から手がはなされ、「しーっ」と沈黙を要求される。
予想外のことに若干面食らいながらも、“沈黙は金”の祖先の教えに従い、私は一切の声を封じた。
すると、ひょいと体が抱え上げられ移動し――ってお姫様だっこでどこいくつもりこの人!?
「ふざけんな真っ暗だぞコノヤロー!?」
「親分がそばにいるから怖がらんでえぇよロヴィー!」
それが一番危ないと思う。
「停電かい!?」
「うわぁっ、ちょっと足踏まないでよアル!」
「アルの近くにいたら危ないから離れなさいマシュー」
「ってクソ鬚こそどこ掴んでんだよ!」
「てめぇっ、暗闇に乗じて喧嘩ふっかけるたぁいい度胸じゃねぇか!」
「それ……猫……あとうるさい……」
「アイスー怖かったらお兄ちゃんに抱きついてもいいべ」
「意味わかんない」
激しくカオスな会場をあとに、私は廊下に出た。