第19章 会議は笑わない
「いったー……!」
「だっ大丈夫ですか!?」
すぐ隣のアルが、バランスを崩して椅子から床にたたき落とされていた。
なぜか右手だけが机に乗っていて、残りは床に伏している。
そんな、何をどうしたらその体勢になるのか、小一時間問い詰めたい体勢になっていた。
「んー、今一瞬寝てたみたいだ」
「ね、寝てたあ!?」
さすが歪みないAKY。
冷えすぎて歯がガチガチいいそうな空気を、一瞬で南国リゾート気分にしてしまった。
「もう! きみのアホみたいなタフさは誰よりわかってるつもりだけど、さすがに連日の無理が体に差し障ってきたんだろ?」
突如なにもないところから声が聞こえてくる。
驚いて見回すと、うっすーい人影が見えた。
目を細めて注意深く視線を注ぐと、
「えっ……ええええええええマシュー!? いつからそこに!?」
クマのぬいぐるみを抱えた、マシューその人がいた。
「公子さんの隣の隣にずっといたよ~」
おおらかだ……
ふんわり微笑む姿は、思い描いていたマシューそのものだった。いやそれ以上か。いやもはや筆舌に尽くしがたい。
「あれ、なんで名前知ってるんだろう?」と不思議そうに小首を傾げている姿マジ天使。
「アホみたいってなんだい!? ヒーローみたいと言ってくれよ!」
「意味がわからないよ! もうっ、そろそろ休憩しよう? 1時のランチタイム2時間半もすぎてるよ」
「んーそうだな、欠席もちらほらあるし、一端休憩しようか!」
その宣言に、会場がひといきつくのがわかった。
マシューが「もう大丈夫だよ」と私に微笑みかけてくる。
うーんなかなかの策士。そしてかわいい。