• テキストサイズ

【ヘタリア】周波数0325【APH】

第19章 会議は笑わない


「えっと、菊さんに本貸したままなの忘れてまして! それを言おうと……」

「そういえばそうでしたね。ちょうど持っていますので、あとでお返しします」

さすがエアリーダー・オブ・レジェンド、そつなく会話をつなげてくる。

「よかった! あれ図書館で借りたもので――」





「ねぇ、なにを隠してるの?」





ピシリ、と空気が結晶する。

捕らえられた視線の先には、にこにこと微笑するイヴァン。

綺麗なうす紫色の瞳は、ぞっとするほど冷たい光彩をまとっている。

その瞳孔が私をじっと凝視したまま、まったく笑っていなかった。

背筋が、血が、凍りつく。

「……なにも隠してませんが」

「当ててみせようか?」

「――っ!?」

嬉々として、いたずらっ子のようにイヴァンが言った。

からかうような口調だが、ふざけているようではない。

確信がある言い方に聞こえる。

……なにかを掴んでいるのか、彼は。

途端呼吸がとまりそうになる。

どうしよう、どうしたら――

バンッ!

静まり返っていた室内に、机を叩く音が鳴り響いた。
/ 378ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp