第19章 会議は笑わない
「以上の説明で問題ありませんね?」
「は、はい! ……あ、やっぱりちょっと待って下さい!」
慌てて訂正すると、菊はやや驚いて小首をかしげた。
「ゴーストタウンっぽい変なとこ経由したんですよ」と言う、本来の目的を思い出したのだ。
「実はアーサーさんたちとテレポ――」
「あああああそうだ公子! そういや公子アレだったよな公子!!」
「ひいいいいっ!?」
私の声を大声でさえぎりながら、アーサーが猛然とこちらに疾走してくる。
(ちなみにいろいろ察した菊のフォローにより、縄はとかれている)
尋常ではない形相にびびっていると、両手で肩を押され数歩後ずさる。
私を含めた会議場の全員が呆気にとられている中、
「テレポートのことはまだ言うな」
私だけに聞こえる声で、そう囁いた。
真剣そのものの、有無を言わせぬ瞳に戸惑う。
しかしちょうど皆に背を向けて私の肩に手を置いている、というまたしても誤解されかねない体勢だ。
案の定アルがやってきて、
「なんなんだい?」
と、私とアーサーの間に入る。
空気から分の悪さを感じ取ったのか、アーサーは肩から手を離し身を翻した。
……本当に、なんなんだい。
耀に菊にアーサー、揃って情報を隠したがっていた。
地下研究所での耀の曖昧な笑みもそうだ。
「アーサーになに言われたんだい? それになにを話そうとしたのか――」
……考えてるひまはない、か。