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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第19章 会議は笑わない


私はいざ真正面を向き、勢いよく話し出す。

「あのです、ね……」

が、すぐその語尾は弱々しく消えていった。

同時に頭の中が白くなって、手が汗ばんでいく。

私という一点に集まった視線、静寂の中やけに反響する自分の声。



……やべーよこれは……想像以上に……やべーよ……



急激に高まる緊張感に、考えていた言葉ががらがらと崩れていった。

言葉につまる私、耳鳴りがしそうな沈黙の中、

「私がご説明いたします」

キング・オブ・エアリーダーが声を発した。





それからの菊は、まさに「素敵! 抱いて!」と叫びたくなる気迫だった。

私の最初の出現からここに至るまでの経緯、軽い紹介。

肝心な箇所――アーサーのテレポートやARDOのこと――をうまくよけた説明には、不思議に思いつつも脱帽した。

「――ということまでが今わかっている全てです」

菊はそう締めくくる。

聴衆といえば、圧倒されてみんな言葉を失っていた。

驚愕か、馬鹿馬鹿しくて、“別世界”からなんて突飛なことが信じられないのか、なんの感情でかはわからない。

しかし、異変が起きている状況、“本田菊”による至極真面目な説明を、一蹴できるとは思えなかった。
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